BLOG

お知らせ

ブログ

食べるのが遅いのはなぜ?~お子さまのお口から考える原因と対策~

「うちの子、どうしてこんなに食べるのが遅いの?」

「保育園や学校で給食を食べ終わるのがいつも最後…」

そんなお悩みを持つ保護者の方は少なくありません。実は、お子さまの“食べるスピード”には、お口の発達や機能が大きく関係していることをご存じでしょうか?

今回は、歯科の視点から「子どもの食べるのが遅い原因」と「その対策」について、特に“口腔機能発達不全症”との関係にも触れながらわかりやすくお伝えします。

1. 噛む力・噛み合わせの未発達

お子さまは成長段階にあり、まだ永久歯が生えそろっていない時期は噛む力も弱めです。また、歯並びや噛み合わせが整っていないと、うまく噛めずに食べ物を細かくするのに時間がかかります。

特に以下のようなお子さまは要注意です:

• 前歯でかじりとるのが苦手

• 奥歯が生えてきていない、または使えていない

• 片側だけで噛むクセがある

こうした状態が続くと、「口腔機能発達不全症」と診断されることもあります。

2. 舌や口唇、顎の動きがうまく使えていない

咀嚼(そしゃく)や飲み込みには、舌や口の筋肉、顎の動きが連携して働くことが必要です。しかし、近年ではやわらかい食事や生活習慣の変化により、口の機能が十分に発達していないお子さまが増えています。

こんな様子が見られたら要注意です:

• 食べ物を口の中でモゴモゴ動かしているだけ

• 飲み込むのに時間がかかる

• 一口が小さすぎてなかなか進まない

• 食後に口の中に食べかすが残っている

これらも口腔機能発達不全症のサインのひとつです。放っておくと、発音や顔の骨格の発達にも影響することがあります。

3. 歯の痛みや違和感

虫歯や生え変わり時期の歯のぐらつきがあると、うまく噛めなかったり、痛みを避けて食べるスピードが遅くなることがあります。

特に、「急に好きな食べ物を食べなくなった」「硬いものを嫌がる」などの変化があれば、一度歯科でチェックしてみましょう。

4. 食べ方のクセや習慣

食事中に集中できなかったり、姿勢が悪かったりすると、食べるのに時間がかかります。

また、「ゆっくり食べなさい」と言いすぎると、真に受けて“必要以上にゆっくり食べる”ようになってしまうこともあります。

その背景に口腔機能の未発達があることもあるため、「しつけ」の問題と決めつけず、お口の機能の評価が大切です。

5. 口腔機能発達不全症のチェックのすすめ

「口腔機能発達不全症」は、噛む・飲み込む・話す・呼吸するなどの機能がうまく発達していない状態のことをいいます。2020年からは保険診療でも評価・指導が可能になり、歯科医院でのチェックやトレーニングが受けられるようになりました。

こんなチェックポイントがあります:

• 食事に時間がかかる

• 舌の動きがぎこちない

• 口をポカンと開けていることが多い

• 飲み物で流し込むように食べている

• 滑舌が悪い、発音が不明瞭

お子さまの食べ方に不安がある場合は、早めに歯科で口腔機能のチェックを受けておくことで、将来的なトラブルを防ぐことにもつながります。

まとめ

「食べるのが遅い=ただのクセ」ではなく、お口の成長や機能に課題があるサインかもしれません。

当院は日本口育協会認定医院として、お子さまの口腔機能の発達を専門的にサポートしております。お悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

お子さまの健やかな成長を、お口の健康からしっかり支えてまいります。